海のそばで暮らす男の子とお父さんと6匹の猫
海のそばで暮らす男の子「ノイ」はお父さんと6匹の猫たちと暮らしています。お父さんは朝早くから魚釣りの仕事に出かけるため、ノイは猫たちと暗くなるまで毎日お留守番をしていますが、ある嵐の翌朝、浜辺でクジラの子供に出会い、そこから物語が始まります。
主人・ノイの表情はずっと同じ表情をしていますが、クジラを助けようとお水をかけたり、ご飯を一緒に食べたり、慌てたり心配したり必死にクジラが気持ちよく過ごせるように頑張る姿に心を打たれます。
ひとりぼっちでいることの寂しさを知っているからこそ
きっとノイは一人で過ごすことの寂しさを知っているからこそ、砂浜に打ち上げられたクジラの気持ちを感じ取っていたんだろうなぁと、ノイのお父さんと同じような気持ちになりながら読み進めました。
静かにゆっくりと時間が流れるような物語で、読んでいるとリラックスできますし、優しい気持ちになれます。
うちにかえると、
クジラが きもちよくいられるようにと、
ノイは がんばった。
しまの くらしの はなしも してあげた。
クジラはね、 いいこで きいていたよ。
引用:「あのひのクジラ」
ついつい忙しくて目の前のことにいっぱいになってしまいがちですが、子供の寂しさに気づいた時、胸がぎゅっとなります。クジラとの出会いを通して、お父さんとノイの暮らしにも良い変化が現れるシーンも描かれており、自分自身も子育てのをする中で、子供との時間をもっと大切にしようと気付かせてくれた作品です。
お子さんはもちろん、大人が読んでもホッと心が温まる素敵な1冊です。